#48 「ホワイト家族」の成功〜予想外でした。

 通信会社の広告宣伝に『家族』が使われる事は昔から多い。所謂、『定番』の設定と言ってもいいだろう。家族間通話・通信を一気に囲い込む、"Friends and Family"型の割引サービスの宣伝には、まさにドンピシャの設定である。僕がその昔在籍した国際電話会社でもよく使った。KDDITJIDCの3社とも、ほぼ同時期に家族スタイルの広告を流していた時期もあったと記憶している。

 ソフトバンクの「ホワイト家族」は、「日本の家族」でありながら、「お父さんが犬」、「お兄さんがどう見ても外国人」という、ナンセンスな設定だ。大きな違和感を視聴者に与えながらも印象に残るCMとなっている。これが功を奏し、ともすればありきたりでお得感が伝わらないリスクのある「家族間無料通信サービス」を強烈に印象づけることに成功したように思う。

 この配役には、相当な計算があったに違いない と勝手に想像していた。同時に、孫さんでなければ、OKを出せないCMだなあと、思っていた。(余談だが、某通信会社の役員は、CMの美人女性タレントの姿勢が悪いと言って直立不動バージョンに作り直させたとか、脚をCGで細く真っ直ぐにさせたとかの逸話があった)

 第48回「ACC CM フェスティバル」(主催:全日本シーエム放送連盟=ACC)のテレビ部門グランプリとベスト演技賞に、ソフトバンクモバイルの「ホワイト家族」シリーズが選ばれた。11月4日、その授賞式が都内ホテルで開かれ、「お父さん」犬とお母さんの樋口可南子さん、ダンテ・カーヴァーさん、上戸彩さんの「4人」が、孫正義社長と一緒に登壇した。

 そして、その場で、このCMができた経緯が孫社長から明かされた。

 授賞式で、孫正義ソフトバンク社長は、CMを作った時にハリウッド女優らのスケジュールが空かず、別の出演者を起用し1週間で作る羽目になったと告白。孫社長の「ソフトバンクとなじみのある人がいい」との意見で、ヤフーBBのCMに出演していた上戸彩さんと犬がいる家族を想定。お母さん役を、孫社長が憧れているという樋口可南子さんに頼むところまでは、すぐに決まったが、お父さん役がなかなか決まらない。残り3日というとき、「犬をお父さんにしちゃいましょう」というアイデアが現場から飛び出し、いまは大人気の「お父さん」役が決まったという。

 上戸さんは、「ホワイト家族」の秘密を孫社長から初めて聞かされて、「時間がなかったからなの?!」と驚いていた。
【出典:毎日新聞 http://mainichi.jp/enta/geinou/graph/200811/04_2/ 】

 本当か嘘かはともかく、とにかく徹頭徹尾『予想外』ということらしい。

 ここまでこの『家族』の存在感があると、競合他社もそううかつにはマネできない設定になってしまった。
 『サル』で対抗しているイーモバイルの業績は好調のようだが、残りの2社は? 
 次のCM合戦が楽しみだ。