#45 『ザ・コピーライティング』 ジョン・ケープルズ著 神田昌典監訳

 さて、あなたは育毛剤メーカーの広告宣伝部の課長である。あなたは、次の新聞広告案をとりまとめ取締役会に提案しなければならない。
 広告代理店から広告案が2つあがってきた。2案の概要は以下の通り。さて、あなたはどちらを採用しますか?

<提案1>
ビジュアル : 男性が別の男性のハゲ頭を指さしている
見出し   : 「60日前までは私が『ハゲ』と呼ばれていました」
コピー主旨 : この育毛剤でめざましい効果があった男性の話を伝えている。
オファー  : 無料パンフレット『最新の育毛法』


<提案2>
ビジュアル : こちらに小切手を差し出している育毛専門家
見出し   : 30日以内に髪が生えてこなければ、この小切手を差し上げます
コピー主旨 : この育毛剤の効果に満足できない場合は、小切手で返金すると説明している。
オファー  : 無料パンフレット『最新の育毛法』
                              出典『ザ・コピーライティング』

どうですか? 答えは決まりましたか? 理由付けも大丈夫ですか?


ちなみに、弊社社員に同じ問題を出してみた。
<提案1>が2人、<提案2>が3人。
<提案1>だと即答した、生え際がやや上の方にあるA君、その理由を勢い込んでこう言った。

『金が欲しいんじゃないんです、髪の毛が欲しいんです』
けだし名言。 さすが弊社ナンバーワンコンサルタント

そう、正解は<提案1>である。

その詳しい理由は、この本『ザ・コピーライティング』に書いてある。

ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則

ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則

本書の著者『ジョン・ケープルズ』氏は、

アメリカの広告業界で58年間も活躍し続けた伝説的コピーライター。うち56年間はBBDO勤務。そのながい現役コピーライター人生で、テストを繰り返し、効果を検証する「科学的広告」の促進を常に目指し続けた。

という人で、

本書は、76年前に初版がかかれてから4回改訂され、ロングセラーとなっている、まさに『広告会のバイブル決定版』だそうだ。


実際に読んでみて、76年も前から、本当に『科学的』に広告を作っていた人がいるって事にビックリした。私も通信会社社長の時には年間数億の広告宣伝費を使っていたけど、こんな話をしてくれる広告関係者はいなかったような。。。だから、身につまされてビックリです。

最近のネット広告や、ネット・テレビ通販につながる『科学的』手法があったんですね。


これをネタ本にしてた神田昌典氏が監訳というのもおもしろい。「監訳者まえがき」で、本書をネタに充分に稼がしてもらったと正直に書いてあったので、もうお役ご免ということか。