#10 エンジニアのコミュニケーション能力(後編)

エンジニアのコミュニケーション能力(後編)

さて、前回に提示した下図ですが、「コミュニケーション能力のモデル」として書いてみました。



それぞれの言葉の定義を以下のように考えています。

<Input>

    • 相手の論理(Logic)、感情(Emotion)、利益(Benefit)を聴き取る能力
    • 積極性・オープン性
    • 自分の感情を認識する能力

<Process/Control>

    • お互いを理解する能力
    • アウトプットを作成する能力
    • 制御する能力(感情コントロール力)

<Output>

    • 相手に論理(Logic)、感情(Emotion)、利益(Benefit)を伝える能力
    • 積極性・オープン性

この3つの能力全てを使う場面が、実際の会社生活では多いようです。

それは営業や管理系の人の話であって僕らエンジニアには関係無いと思っているエンジニアの方もいるでしょう。技術力で勝負するのであって、「感情が。。。」とか言われても困るなあという方もいるでしょう。

コミュニケーション下手を自認してはいるし、もう少しうまくなりたいと思ってはいるが、「必要に迫られるまでは、このままでまあいいか」と流されている方も多いでしょう。

私もそう思っていた昔気質・職人気質のエンジニアの一人でした。「男は黙ってサッポロビール」が支持される時代の南九州で育ったこともあり、無口、頑固を男の美学みたいに思っていました。

しかし、鉄鋼会社の開発部門で働いていた時、それが全くの勘違いだったことに気づきました。猛烈な勢いでコミュニケーションを取らずには仕事ができなかったのです。社内技術シーズの調査・応用・実装を繰り返す開発プロセスには、エンジニアとしてだけでなく人間としての信頼関係が必要で、一緒に遊び一緒に仕事するというスタイルが求められました。(もちろん、そういう社風、時代という側面もあったとは思います。)

それ以降現在まで数多くの開発プロジェクトを経験しましたが、毎回、技術(ロジック)を基盤としたコミュニケーション能力を必ず求められました。
プロジェクトを指揮するプロジェクトマネージャーは、この能力をフルに使う職種と言っていいでしょう。クライアント、ベンダー、協力会社、上司、チームメンバー等と多くの関係者の利害を調整しつつ、ひとつのプロジェクトを完成させ、全員が納得する品質、納期、コストを守ることは、高度なコミュニケーション能力無しでは実行できません。

プリセールスエンジニア、顧客サポート、営業サポート等は直接的にお客様とコミュニケーションが必要な職種ですので言うまでもありません。

あなたの仕事はいかがですか?

技術をベースにした高度なコミュニケーション能力を求められていませんか? お客さんとのコミュニケーション、他部署とのコミュケーション、協力会社とのコミュニケーション、上司・同僚・部下とのコミュニケーション等が業務の重要な部分ではありませんか?

もし、コミュニケーション能力を上げれば、何か楽しいことが起こりそうではありませんか?

もしYESだと思い当たるのであれば、早速今、ニッコリ笑顔で隣の人に話しかけてみませんか? 小さな一歩から始めてみましょう。

(エンジニアのコミュニケーション能力は今回で終了です。)
参考図書:「ITエンジニアのためのコミュニケーション能力診断 上村有子」