原発停止要請

唐突に首相発表となった浜岡原発停止要請は、法的根拠もなく、科学的根拠も曖昧で、経済合理性の説明も無かった。
後日には、原発停止は浜岡に限定した話であって、その他の原発運転はむしろ積極推進の様子。
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国民の安心・安全感を優先した決断としては、象徴的な意味を持つ。ここまでの津波には安心という明確な線引きはこれからの浜岡原発再開プランに盛り込まれるとのこと。
原発を全て廃止するという長期的に新しいプランに基づいているわけではないので、津波耐性の設計値の問題になっている。

工場、店舗、データセンター等、大量に電力を消費する経済界からは避難の声も出ている。

日本経済新聞】 政府の突然の要請に、経済界からは批判の声が出ている。日本経団連米倉弘昌会長は9日の記者会見で「民主党政権は結論に至る思考の過程がブラックボックス。唐突感は否めない」と述べた。「だれがどう議論したのか。詳しく国民に根拠を示し説明すべきだ」としたうえで「政府がこれほど無責任だと、企業内行動の倫理観にも影響する」と苦言を呈した。

【読売新聞】日本経団連米倉弘昌会長は9日の記者会見で、菅首相中部電力浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことについて、「思考の過程がブラックボックスだ。政治の態度を疑う」と述べ、政府での検討過程を明らかにしないまま停止を要請したことを「政治的なパフォーマンスだ」と批判した。
 米倉会長は「総理の(運転停止の要請)発表は停止命令に近い発言として受け止められる」と指摘。30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が起きる可能性を87%とみて要請した点についても「唐突感は否めない」などと述べた。


一方、中部電力の水野社長はこの決断の理由をこう述べた。

【読売新聞】9日の記者会見では水野社長は『安全強化への取り組みが信頼回復と安心につながる唯一の道だ』と指摘した。浜岡原発は安全対策に問題はないとの立場を強調しながら、原発に対する国民の不安の解消を優先すべきだとの判断だ。


トヨタ等の大口電力利用企業は節電への協力を約束している。東北から中京に生産拠点を構える最中の突然の出来事にもかかわらず積極的且つ迅速に対応するとのこと。本当に偉い。

日経産業新聞では原発停止を火力発電で賄った場合の燃料調達費用とCO2排出枠調達費用を算出している。
その額は電力会社の経営を圧迫し、電気料金の大幅アップが必要なレベルだ。

日経産業新聞
原子力発電所の停止で生じるコスト(年間)
ケース1:震災影響で停止した原発の出力に頼れない場合
ケース2:ケース1+現在定期点検中の原発を再開できない場合
ケース3:ケース2+今年度に定期検査を始める原発を再開できない場合

ケース 喪失する出力 CO2排出枠追加費用 火力燃料追加費用 合計費用
ケース1 1600万KW 1300〜2000億円 7000億円〜2兆4000億円 8300億円〜2兆6000億円
ケース2 2800万KW 2300〜3600億円 1兆2000億円〜4兆2000億円 1兆4300億円〜4兆5600億円
ケース3 4400万KW 3500〜5600億円 1兆9000億円〜6兆6000億円 2兆2500億円〜7兆1600億円

政府は電力会社の給料引き下げや一層のコスト削減を要求している。
一方で、政府の原発関係団体や関係者の給料引き下げは、現時点では不問のようだ。アンフェアな印象がぬぐえない。

土地代、家賃、人件費、物価、電気代が高い国で、国際的に展開する製造業やネットビジネスを営むのは容易ではない。加えて、円高・デフレ・国内需要減の時代である。このままでは輸出も内需も苦しいままだ。

内向き、下向きのまま、ゆっくりと老衰していく日本にはしたくない。
復興をバネに飛躍していく日本をつくりたい。
がんばろう!日本! 勿論僕もガンバル。