玉田選手の思い出

 サッカー日本代表玉田圭司選手に9年前に会ったことがある。僕の息子が所属していた市川カネヅカサッカークラブのイベントに、先輩Jリーガーの一人として二次会場のクラブハウスに彼が来てくれたのだ。
 『えっ?Jリーガー?ジャニーズじゃないの?』と思うくらい華奢で色白の美少年だった。当時、彼は全くの無名選手で、僕もクラブ父兄も誰も知らなかった。市川カネズカ→習志野高校→柏レイソルに入団して2、3年目で、まだサテライトを中心に活動していた。
 クラブ関係者や父兄の僕らは一次会からお酒も入り良い気分で彼に話しかけた。彼は何でもハキハキと答えた。
 スピードや技術では自分が一番だと自信を持っていること、体が小さいので当たり負けやパワー負けをしてしまうので、ウエイトトレーニングして鍛えていることなど、僕らが勧めるお酒を断りウーロン茶を飲みながら語ってくれた。
 クラブ代表は、玉田選手は昔いたずら小僧でピンポンダッシュの名人だったとかの思い出話もした。

 深夜まで続いた二次会の最後まで玉田選手は付き合ってくれた。
 お開きになって、僕が玉田選手のためにタクシーを呼ぼうとすると。
 『結構です。走って帰ります』ときっぱりと断った。
 『ここ(市川)から柏まで結構距離あるよ。深夜だし』と僕が言うと、
 『いつもこれくらい走っているんで。ちょうどいいトレーニングになります』とニコッとしながら答えた。そして、残った皆に挨拶して爽やかに帰っていった。


 その2年後、レイソルの監督がブラジル人マルコ・アウレリオに変わり、彼はレギュラーに定着し、柏レイソルのエースとなった。
 そのまた2年後、ジーコ監督によって日本代表に選出され、定着し、日本のエースとなった。


 テレビで見る玉田選手の顔と体は、あの時よりずっとたくましい。
 インタビュー等での言葉は、あの時と同じように強気でストイックだ。

 いつも応援してるよ!タマちゃん!