最後の夜汽車

 夜、行き着けの寿司屋に入ると、テレビで明石家さんまの司会する音楽番組を流していた。ひな壇に座っているゲスト芸能人の思い出の名曲を、エピソードと一緒に紹介するという番組だった。
 温水洋一吉田拓郎の『私は今日まで生きてきました』で役者で生きることを決意したとか、女医タレントは山口百恵の『・・・』で医者を続けることができたとか、プロレスラーは・・・という具合に進行していた。「あー、懐かしいねえ」なんて職人とカウンター越しに話していた。

さて、最後に明石家さんまの思い出の曲が紹介された。
甲斐バンド『最後の夜汽車』だった。

ビックリした。僕が大学の頃に組んでたバンドでよく演奏していた曲なんだけど、すっかり忘れていたし、実際にあれ以来に聴いた記憶も無いし、カラオケで歌った記憶もなかったからだ。好きで唄っていた思い出深い歌を完全に忘れていた。

甲斐バンドが特別ゲストで登場し、スタジオで生で歌った。
本当に20数年ぶりに聴いた。
記憶喪失から突然復帰する感じというと大げさだけど(記憶喪失になったことはないが)、急にあの頃のいろんなことを思い出した。

家に帰り、Youtubeで探した。
なんと数本アップされていた。
しみじみとじっくり聴いた。
左:【1977年日比谷野音ライブ】若い!!前奏や3番以降カット版
右:【1985年武道館ライブ】

聴いた後、レコードが押入れの奥にあるのでは?と思い出す。と同時に、レコードに煙草を落としてしまい変形させたことを思い出す。

「あいつ、どうしてるかな?」数年ぶりに電話してみるか。