#11 『どげんかせんといかん』 から始めよう


2007年の流行語大賞東国原英夫・宮崎県知事の『(宮崎を)どげんかせんといかん』が選ばれた。知事が県議会での所信表明で、「停滞のもととなった古いしがらみからの解放が必要」、「テゲテゲ(いい加減)では地域間競争に勝ち残れない」と方言を交えながら語った言葉である。


世の中全体の雰囲気としても「どうにかしなければならない」ことがなんにつけ多く、「どげんかせんといかん」が、勇気づけ・元気づけ・問題提議の言葉として、全国の人に受け入れられたのだろう。また、知事が積極的に頻繁にマスコミに登場したこともこの言葉にポジティブな力を与えたのだろう。


宮崎県出身の私としてもこの話題は嬉しいものだ。


実を言うと、最近、考え事をしているときついこの言葉をひとりごちしてたりして、マイ流行語でもあった訳で、だけどそれは私が宮崎出身だからと思っていたので、まさか流行語大賞に選ばれる程流行っているとは知らなかった。


さて、「どげんかせんといかん」の「どげんか」だが、実は、宮崎県全域で使われている言葉ではなく、東国原知事の出身地の都城市周辺のみで使われており、宮崎市内周辺及び県北のほうでは「どんげか」という言葉を使っている。(都城市は鹿児島に近いこともあり、どちらかというと鹿児島弁に近い宮崎弁である。)


宮崎市周辺で育った私が心を込めていうなら、『どんげかせんといかん』になる。
(余談だが大学時代の熊本出身の友人の口癖が『どげんかせんばー』でした。)


しかし、どっちの言葉を使おうが宮崎を「どうにかしなければならない」のは変わらなくて、どこの方言かは「そんなの関係ねえー」(これも2007年流行語大賞のトップテンに選ばれている)というか、取るに足らない小さな事だ。もともと宮崎のおおらかな県民性もあるし、全国レベルの話題としては本当にローカルな方言の違いなど本当にどうでもいい話でもあり、揚げ足取りなど元々心配不要なレベルの話しでもあるが。


結果的に、県民もマスコミもこの言葉を前向きで一生懸命な知事の姿勢と共に受け入れ、そして流行語となった。


知事の言葉は大事だ。


人(選挙民、職員、議員)、組織(県庁、国、市町村)、世の中(会社、世論)を動かしていくとき、この言葉がいろんな場面で活きてくるだろう。


東国原知事は、「どげんがせんといかん」時に、自分の言葉で臆することなく問題提議し、周囲の理解を得、結果が出るまで努力を続けていくだろう。しかし、それは言うほど容易な事ではない。知事も身も心を疲れはて折れそうになるときがあるだろう。そんな時、この言葉が勇気づけてくれたり、またこの言葉を信じてついてきた人たちも励ましてくれると思う。


さて、我々も、「どげんがせんといかん」状況に仕事上でリーダー(当事者)として出くわす。


やりすごすことも、逃げることも、風見鶏になることがベストな選択でない状況で、しかも『どんげかすっど(どうにかする)』と腹を決めなければ到底向かい合えない時に出くわす。


そんなとき、自分を勇気づけ、周りを巻き込む、そんな言葉が発せられたらいい。