#19 日本語CGMの特長 ニュース系CGM

『iza(イザ!)』

『iza(イザ!)』(http://www.iza.ne.jp/)は、2006年6月15日に産経新聞グループの産経デジタルを運営主体としてオープンした。新聞2.0を標榜し、『ニュース+ブログ+ブックマーク+用語集』を融合させた双方向ニュースサイトである。 「ウェブ・オブ・ザ・イヤー 2006」(ヤフー・インターネット・ガイド主催)の新人賞も受賞し、注目を集めた。

サイトオープンから約10ヶ月、2007年4月23日現在で、4530人のブロガーが登録している。内訳は、記者ブログが81人、専門家ブログが44人、オフィシャルブログが27人、残り4381人が一般読者ブログである。読者なら誰でも登録するだけでブログを開設できるが、10ヶ月で4530人という読者ブロガー数は意外に少ない。
記者ブログが概ね人気が高く、新聞記事を補完するような内容となっている。読者ブログの方は、重大ニュース(政治や芸能関連)に対する過激な内容のものが人気が高いようである。産経新聞の論調に同調するブログが多いのも特徴だ。
気軽に日記風ブログをアップして楽しめる雰囲気は薄い。ニュースにコメントとする形式のブログは、それなりの自信と覚悟が無いと書けないのかも知れない。

日経ネットPLUS

『日経ネットPLUS』(https://netplus.nikkei.co.jp/日本経済新聞社編集局がつくる会員制の紙面連動サイトである。2007年1月22日にオープンした。会員登録は誰でもでき無料だ。 独自コンテンツとして、専門家が特定のテーマについて議論する「フォーラム」と、日経新聞の記事と連携した日経on the Web がある。
会員になると、ニュースにコメントをしたり、「フォーラム」に参加して、質問や感想を述べることができる。但し、それらがホームページに掲載される前に、日経の方でチェックが必ず入っているようであり、場合によっては編集、ふさわしくない内容の場合は削除されることもあるようだ。
会員数は未発表だが、コメントやフォーラムがあまり賑わっていないところを見ると、そう多くはないように思われる。
やはり、なんといっても日経のサイトであり、堅い経済ニュースにコメントするには、それなりの知見を持ったビジネスマンが参加する場という雰囲気がある。実際に投稿されているコメントも、明らかにビジネスマンらしく論理的で現場感があるものが多い。

日経の新しい試みは用心深く始まった印象であるが、ビジネスマンからの高い信頼がある同社ならではの発展系が楽しみである。

オーマイニュース

オーマイニュース』(http://www.ohmynews.co.jp/)は、2006年8月28日、日本版オーマイニュースのβ版が開始した。韓国での成功ノウハウを抱えて日本での事業開始である。
日本では匿名、掲示板のネット文化があることやジャーナリズムへの信頼が高いこともあり、韓国での事業環境とは異なるので、「日本では難しいのでは?」という声が当初は多かったようだ。
2007年2月20日時点で3137人(男性2483人、女性558人)の市民記者を擁している。そして、4430件の記事(2007年5月7日現在)がアップされている。
CEOのオ・ヨンホ氏は、2006年8月28日の記者会見で、「(市民記者数を)年末までに5,000人、2年以内には韓国と同じ4万人を目指す。」と発表していたが、それほど多くの市民記者を集められなかったようだ。
市民記者には登録(無料)するだけでなれる。投稿した記事が採用されれば、トップ記事で2,000円、サブトップ記事で1,000円、ピックアップおよびその他の編集済み記事で300円が支払われる。もちろん、市民記者で生活することは極めて難しい。
記事の内容は多岐にわたっているが、大手マスコミが日々ニュースとして扱うものは少なく、コラム系の方が多いようだ。コラム好きの人にはおもしろいサイトかもしれないが、日々のニュースが知りたい人には、ニュース題材、タイミングがずれているかもしれない。
オーマイニュースがどういった形で日本に定着し、その存在を主張していくのか、今後も注目していきたい。

ニュース系CGMの将来

ここでとりあげた3つの試みは始まったばかりである。それぞれのメディアが、それぞれに読者、ブロガー、記者を抱えて、それぞれのニュースサイトの特長を出そうとしている。
メディア企業にとってCGMが、生き残りをかけた主戦場になるのか、補完的サービスになるのか、単なる新しい試みで終わるのか?
メディア企業の試みが、日本人の情報受発信形態の進化とどうシンクロしていくだろうか?

以 上