#18 日本語CGMの特長 その2
さて、前回のコラムでは、日本語CGMの特長を4点取り上げたが、今回は、更に2点を付け加えたいと思う。
匿名が9割強
インターネットコムとgooリサーチの調査によると、ブログにおいて自分の「実名」を公開している人は、男性7.95%、女性3.69%とどちらもかなり少数であった。
(http://japan.internet.com/research/20060915/5.html)
社長、芸能人、文化人、スポーツ選手、政治家等の、自分を売ることが組織や自分自身の経済メリットに繋がる人たちのブログでは「実名」且つ「顔出し」が積極に行われている。
しかし、大多数の人たちにとっては「実名」「顔出し」をして自分自身をプロモートするメリットより、「出る杭は打たれる」リスクの方が怖いようだ。また、気楽に日記風に本音や悪口が書けるメリットも失いたくないようだ。
日本の会社員の場合、会社がアイデンティティであり生活の場となっている人も多く、「実名」「顔出し」でそれを失うことさえある。
実際に、人気のある一般人のブログの多くが匿名である。
一方、英語のCGM(ブログ、SNS、動画投稿等)では、日本語に比べて「実名」で且つ「顔出し」が明らかに多い。堂々と名乗った上で、持論や表現をブログで展開している。
更には、転職を前提にしたSNSにおいて実名で詳細な職歴を披露したり、YouTubeでは「顔出し」で口パクロックの完成度を競いあったりと、のびのびと個人として自分のプロモーションを行っている。
日本のCGMが、匿名と実名でそれぞれどう発展していくのか、結論を出すのはまだ早いが、日本人の性格、気質そして取り巻く社会環境から考えても、現状の延長上で発展していくようにも思える。
もちろん、「実名、顔出し」のCGMもサービス次第では急増する可能性もあるし、そういった使い方で一般人が成功していく事例も増えていくだろう。(あるいは、既に広告やプロモーションの分野でこういった手法が既に相当数とられている様子もあり、その見分けがつかないだけかも知れないが。)
CGM作成のインフラが世界一充実
CGMを作成するインフラの充実度は、日本が世界一だと思っている。
その理由はたくさんある。
たっぷりと時間を使って、情報機器を駆使し、質の高いCGMを作成することもできるし、「いつでも、どこでも、だれもが、手軽にCGM」を作成することもできる。
会社の昼休みでも、電車の中でも、授業の合間でも、待ち合わせのあいまにもといった具合に、日常でちょっと空いた時間、中途半端に余った時間を使って日記風CGMを作成可能であることは、投稿数が世界一に特に貢献していると思う。
以上、2回にわたって大まかに日本語CGMの特長についてまとめてみた。
- 日本語ブログの投稿数が世界一
- 世界的には英語のブログの方が人気上位には多い
- 日本語ブログは日記風が8割強
- Wikipediaでは日本語記事数は世界5位だが日記以外は弱い
- 日本語ブログの92〜96%は匿名である
- CGM作成のインフラが世界一充実
これらの理解にたった上で、次回からは個別のCGMについてその特長を見ていくこととしたい。
以 上