#15 企業家精神って何?

新しくて伸び盛りの会社の募集要項に、「企業家精神を持っている方」と書いてあるのを見つけるときがある。

業務内容をみると、なるほど、独立可能なフランチャイズ制をとっている会社で実際に独立支援制度がある会社であったりする。あるいは、とにかく新規事業を数多く立ち上げる会社であったりする。

そういった会社には、若くて野心に燃えている人には人気が高く、応募者も少なくない。応募者は優等生タイプというより、やんちゃなタイプが多いようだ。

採用する側も、どの応募者が企業家精神に富み成功の確率が高いのかを判断するために試行錯誤しているようだ。
ある程度多めに採用し、入社後のハードな研修や実務中で、その熱意、能力、適性を見ながら判断することになる。

企業家としての行動を続けていくには強い動機(目的)が必要だ。いくら能力、適性があっても、強い目的意識がなければそれを継続的に活かし、結果を出し続けることはできないからだ。

経営思想家であるP.F.ドラッカーは、その著作「イノベーションと企業家精神」(ダイヤモンド社)で、企業家として成功する者をこう定義している。

『企業家として成功する者は、その目的が金であれ、力であれ、あるいは好奇心であれ、名声であれ、価値を創造し社会に貢献する。しかもその目指すものは大きい。すでに存在するものの修正や改善では満足しない。価値と満足を創造し単なる素材を資源に変える。あるいは新しいビジョンのもとに既存の資源を組み合わせる。』


何か高尚な大義名分を持たなければ企業家になってはいけないと言う有名企業家もいる一方で、ドラッカーのような学者が金持ちになりたいとか有名になりたいとかが目的であっても構わないと言い切ってくれているのは、ごく私的な欲求を出発点としている企業家にも勇気を与えてくれる。


大義名分がうまく言えなくて罰の悪そうな顔をしなくてもいいし、美しい大義名分を無理に創る必要もなく、ましてそれを熱く語る必要もない。


ビジネスライクに、自分の会社が創造する新しい価値と満足、そして、それらが社会にどう貢献していくのか具体的に説明できればいい。


そうドラッカーは言っている。


さて、会社員である我々へのメッセージとして、多少無理矢理かも知れないがこう書き直して見た。


「会社員として成功する者は、その目的が金であれ、力であれ、あるいは好奇心であれ、名声であれ、価値を創造し会社に貢献し、そして社会に貢献する。」


以 上