#12 Coffee Break ホワイトデイ・WHY?

3月14日の午前10時過ぎ、なにやら同僚の男性社員が女性社員に何か配っている。


「なんだ?」
「あっ! ホワイトデイだっ!」
「やっべー。すっかり忘れていた。何も買ってない。どうしよう。昼休みにどこか近くのお菓子屋で何か買うしかないな…。でも、これから会議だし、どのみち動けないし。」


と思っていたものの、午後1時まで伸びた会議の後にはすっかり忘れていた。そのまますぐに昼飯に出かけ、会社の目の前の中華料理屋で食べた後すぐに会社に戻ってしまった。


そして仕事に没頭。
突然、背後から女性社員の声。「お裾分けでーす!」とお菓子を置いていった。
軽い電気ショック。


「やっちゃった。。。忘れてた。。。」
「これから外に営業に出て、そのまま接待だし、今日はもう無理だ。あー完璧アウト。」
「いやいや、明日でもなんとか間に合う。気持ちが大事。今日の夕方どこかで買って、一旦家に持ち帰って明日また持ってくればいいや。」
と独り言で自らフォロー。


接待前にちょっと寄り道してデパ地下で名店のお菓子を購入。接待先にも、おみやげとして同じものを購入。
「よし、これでよし。」


数時間後、接待もうまくいき、いい気分で深夜タクシーで家に帰る。お菓子も忘れずしっかりと持って帰った。
さささっと風呂に入り就寝。


そして朝。
トントントンとダイニングに降りて行き、テーブルを見ると、何と昨日買ったあのお菓子が開封されている。
「やられた!」
おそらく妻か娘が開けたのだろう。
「なんの但し書きも無くテーブルの上に置いてしまった自分が間抜けだった。。。」


「ホワイトデイ。ホワーイ?」


寝ぼけた頭で、しゃれにもならない言葉をつぶやいた。


以上


 *本文は、事実に基づいたフィクションです。