1Q84 BOOK3

1Q84 BOOK 3

1Q84 BOOK 3

世界的な大作家になった村上春樹
僕は、彼のデビュー作『風の歌を聴け』からずっと読み続けてきたファンの一人だが、こんなにメジャーな作家になってしまうと、『好きな作家は?』と聞かれたときに、『村上春樹』と答えるのに躊躇するようになってしまった。
正確に言うなら、『ノルウェーの森』まではとても熱心な読者で、主人公と年齢が近いこともありどっぷりと世界観にはまってたが、それ以降の作品については印象がだんだん薄くなっていった。そして『1Q84』で再びどっぷり世界観に浸りました。といったところだ。

彼の書く主人公は大体、健康な男の若者で、自分で料理(それもパスタだとかおしゃれな料理)や洗濯や掃除がキチンとできて、割と大人しい冷静なタイプなのだが、やたら女の子にはモテてすぐに寝ちゃったりするんだが、この主人公自体が僕にとっては新鮮だった。
僕も含めて、友人にも、こんなタイプはいなかった。まだバンカラも多かった時代でもある。
僕は、村上春樹の世界にどっぷりとはまりながらも、結局料理もしなかったし、洗濯はコインランドリー、掃除は苦手のままだったし、モテなかったので、自分の日常生活とは全く関係ない熱心な読者だった。(むしろ『なんとなくクリスタル』の方がよっぽど当時の若者の日常生活に影響を与えた)
当時の人気ロックグループなどの芸能人を真似することはあっても、村上春樹の小説の主人公を真似することはなかった。
不思議の国のアリス』を、日本の1980年代の若者男子を主人公にしたような村上春樹の小説と言ってしまうのは乱暴な喩えだと思うが、そんな感じで捉えていたように思う。

さて、今になっては、主人公達は今の若者男子のものの考え方や日常生活の方に近いものを持っていると思う。ただ、ネットや携帯電話は出てこない。
今の若者たちは、彼の小説に何を感じているのだろうか?
僕らが『三四郎』や『青春の門』を読んだときのような感覚ではないとは思うが、どうなんだろう?
今度、機会があったら聞いておこう。