津波の後2〜 『ちよっとしたリセット』

 マイクロソフトのバルマーCEOは、CESでの基調講演を行った翌日、米国時間1月8日にCNET Newsとのインタビューでこう述べたそうだ。

 実際のところ、経済は低迷しているのではなく、ちょっとしたリセットが起きている。低迷とリセットは全く異なり、リセットがわれわれに意味することを真に突き止めようとしている
出典:CNET Japan  http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20386290,00.htm


 『ちょっとしたリセット』
 ゲームが変わったとか、基調が変わったとかの意味で使っているようだ。


 ところで、僕はビジネス環境を次の4つの観点からいつも考えるようにしている。
 技術、規制、市場、競争
 この4つのうち、どれか一つでも大きく変わった時に、ゲームのルールが変わり、機会と脅威が生まれる。20世紀は、IT業界のみならず殆どの産業が、技術革新を主なエンジンとして、規制、市場、競争を変えてきたと言っていいだろう。(戦争もエンジンだったが)

 さて、『ちょっとしたリセット』ならば何が変わるのか?
 技術は大きくは変わっていない。競争も変わっていない。規制も変わっていない。
 市場は変わった。

 金融危機、これをひとつの事件として実態経済までおかしくなり、世界同時不況、デフレ、雇用不安、シュリンク、ちぢこまりに市場は急変し長期化は避けられない様子だ。この市場の『基調』が不況を脱した後もそのまま定着しそうな気がする。金がまた流れはじめ、溢れるようになっても、変わらない気がする。そしてその『基調』が、技術を適正レベルの応用に留め、競争を集約し、規制を強化させるという循環を産み出していくのではないか? といった不安がある。

 そんな世の中は楽しいだろうか? わくわくドキドキするだろうか? それを進化と言うのだろうか? 資本主義社会と言うのだろうか? 本当にそうなってしまうのだろうか?

 現時点で予測は難しい。不安に押しつぶされないで冷静に様子を見る必要がある。またなにかの『事件』をきっかけに流れが大きく変わるかもしれないし思いこみは危険だ。いくら思い悩んでも、誰もコントロールできない不安的な市場ゆえに、何かが起こる度に、行ったり来たりの予測を繰り返すしかない。

 
 いち個人、会社人としては、今、大きくは動けないが、目の前のやるべき事に集中するしかない。